鉄子物語9(夜の大脱走・お世話係、泣く)


(今朝の鉄子


調教の先生の指導もほとんど終わり、噛み癖はかなりおさまり
私の言うことも良く聞くようになっていた。
心配した脱毛も、少しずつ良くなり気がつくとふさふさの鉄子に戻った。

そんなある日、バスの通る道を横切って畑の中の公園に行った。
人は少なく、車も殆ど通らない場所にある公園には誰も居ず、鉄は気持ち良く遊んでいた。
私がつい油断して手を緩めてリールを離してしまった。
鉄はしめた!と逃げ出したがブランコの柵に巻きついて自分で動けなくなったところで捕まった。


かなり私も冷や汗をかいたが、こんなのは、些細なことだった。


そして!その日はやってきた。
実は、私は酔っ払っていて、情けないことに何も覚えていないのだ。


この後は、お世話係の娘の説明でお聞きください。


「目撃者、お世話係語る。」
じいたんはその日、碁の仲間の飲み会があって出かけました。
私はじいたんの家で鉄と遊んで留守番して待っていてやったのですが
かなり遅くなって、ひどく酔っ払ったじいたんが友人3人にタクシーで送られてきました。


私は玄関の外に出てじいたんを、抱きかかえていました。
そんな時一人の人が玄関を開けて、気を利かせてじいたんを中に運ぶため
廊下の鉄が逃げないようにしているゲートもはずしちゃったのです。


じいたんを抱きかかえている私の横を、白いものが飛び出していきました。
それはリードもはめてない鉄です!!

\(◎o◎)/!

私はじいたんを、地面に座らせ、鉄を追いかけました。
暗い中、すごい勢いで走る鉄。


とても興奮してしまって、つかまるもんじゃあありません。
そのうち、車が来て、私は両手を広げて車を止める始末。


呼ぶと、余計に喜んで逃げました。
家の前は車は徐行していますが、一本先を曲がると大通り。
びゅんびゅん車が走っています。
そっちへ行ったらもう駄目でした。
きっと轢かれていたでしょう。


車を何台も止めて、鉄を追いかける私。
運転手さんに何度も怒鳴られました。
汗だくでもう息も止まりそうでした。



地図の赤線の部分を全速力でぐるぐる回る鉄。


送ってくれた方は皆「犬は戻ってくるから!ほっといて」などと言って
「お父さんを早く家にあげてあげて」と大きい声で私を呼んでいます。


まだ子犬の鉄が戻ってくるなんてとても考えられない。


そしてトラックが向こうから1台やってきました。
「わーーもうだめだー」と思った瞬間、トラックは止まり
運転手さんが降りてきて、なんと一緒に鉄が大通りに出ないように
家のほうに追い立ててくれました。


そして鉄がまた家の前を全速力で走りぬけようとしたとき
門柱によっかかっていたじいたんが、すごい音たててドターンと転びました。


そして、それを遠くから見た鉄が、じいたんの顔をなめようと戻ってきたんです!


そこを、もう今しかないと頑張って捕まえました!


この間、止めた車は十数台、時間は20分くらいでしょうか。
ひどい話です。心臓どきどきして、涙が出ました。
足は転んでいつの間にかジーパンの膝が破れて血が出ていました。


そしてお世話になったトラックの運転手さんは、いつの間にかいなくて
お礼もいえませんでした。
今更ですが「ありがとうございました!」


終わり。

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この後、酔っ払いの私と、大脱走をしでかした鉄は並んで座って
お世話係の説教を延々と聞かされたのだった。


くわばら、くわばら・・・・




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